كليو 2016 ريو سوزوكي
الأبحاث
CLEO 2016 帰国報告
ريو سوزوكي
日程: 2016年6月5日 — 6月10日
場所: San Jose Convention Center, San Jose, California, US
アメリカ合衆国カリフォルニア州サンノゼで開催されたCLEO:2016 (Conference on Lasers and Electro-Optics)において研究成果発表、及び聴講を行ったので以下に報告する。
1.学会について
CLEO:2016が開催されたアメリカ合衆国カリフォルニア州サンノゼはサンフランシスコから列車で1時間半ほどの場所に位置し、シリコンバレーの中心地としてGoogleやOracle、Adobeといった世界有数のIT企業の本社が所在する。カリフォルニア州というと温暖な気候を想像するが、昼夜の気温差が大きいため夜間は特に肌寒くなるため注意が必要である。CLEOは光学分野では最大の国際会議であり、質の高い研究内容が数多く発表される。報告者は2015年度に米国Purdue大学に約5ヶ月間滞在しており、その際に構築された研究者のネットワークを感じることが出来たことが新鮮であった。
2.報告者の発表について
本会議において“Kerr comb generation with suppressed cavity-optomechanical oscillation in toroid microcavity”の口頭発表を行った。報告者の発表分野はノーベル物理学賞を受賞した“光周波数コム”の新領域であり、本会議においても複数のセッション全て盛況であった。報告者のセッションではPurdue大学やFEMTO-ST、NIST、Caltech、コロンビア大学など本分野で有数の研究機関からの発表であった。発表は12分間のプレゼンテーションと3分間の質疑応答に分けられ、プレゼンテーションに関しては、“光周波数コム”に加えて“Cavity optomechanics”の内容が加わっているため、より簡潔なスライド構成や説明にすべきであったことが反省点である。質疑応答に関しては、測定の際にCavity optomechanicsが影響しているかという簡単な内容であったので、特に問題なく英語自体も理解することが出来た。前回参加したCLEOではポスター発表であったため、今回が初めてのCLEOでの口頭発表であったが緊張し過ぎることなく発表を終えられた。
3.関連発表
報告者の研究分野である微小光共振器を用いた光周波数コム(光カーコム)の関連発表全体の印象は、やはり多くの研究グループがシリコンナイトライド材料の微小光共振器を用いていることである。特にトップ研究機関であるEPFLがこれを用いた多くの研究発表を行っており、オンチップでのデザイン自由度や安定した実験条件、材料特性が理由として考えられる。これまで実験は通信波長帯の光で行われることが多かったが、近年は可視光や中赤外領域に興味が移ってきていると感じた。以下に参考になる関連発表について記す。
[SW1E.5] Generation of Dual Frequency Combs using Cascaded Microring Resonators
A. Dutt, J. Cardenas, Y. Okawachi, C. S. Joshi, X. Ji, K. Luke, A. L. Gaeta, and M. Lipson
[JTh4B.5] Silicon-Microresonator-Based Mid-Infrared Dual-Comb Source
M. Yu1, Y. Okawachi1, A. G. Griffith, M. Lipson, and A. L. Gaeta
光カーコムの応用に“デュアルコム分光法”がある。これは繰り返し周波数の異なる2台の光周波数コム光源を用いて、吸収スペクトルを観測することで物質を同定する分光法である。FT-IRでは2つの光パルスに遅延をつけるために機械駆動部分が存在するが、デュアルコム分光ではパルスの繰り返し周波数差がこれに対応する。このデュアルコム分光は従来の光周波数コム光源では実現されているが、光カーコム光源では簡易的な実証もされていなかった。本発表では2つのシリコンナイトライド微小光共振器を直列、並列に配置して、1つのポンプレーザ光源(通信波長帯と中赤外帯)から2つの光カーコムを発生させている。この際にポンプレーザの波長掃引を用いるのでなく、集積したヒーターを用いて共振波長をチューニングして発生させている。通信波長帯では444.9 GHzと453.3 GHzの繰り返し周波数の光カーコムを発生させており、その周波数差は約8 GHzである。これらのパラメータはデュアルコム分光においては周波数が大きすぎるが、本研究は初めての光カーコムのデュアルコム分光実証という位置づけであろう。光カーコムのデュアルコム分光は小型化・安価が大きな利点であるのに対して、この繰り返し周波数が大きくなってしまうことが問題であるので、今後はこれを改善する方向に研究が進むと考えられる。また、この方法で発生した光カーコムは中心周波数が同じであるため、実際に分光に使う際は発生している光周波数コムの帯域半分をフィルタリングする必要が出てくると考えられる。
[JTh4B.7] Ultra-High-Q Silica-on-Silicon Ridge-Ring-Resonator with an Integrated Silicon Nitride Waveguide
K. Y. Yang, D. Y. Oh, S. H. Lee, and K. J. Vahala
シリコンナイトライド微小光共振器は導波路と集積してチップ上に作製可能であるため光カーコムの研究ではよく用いられる。一方で作製プロセスによりQ値は10の6乗オーダーで制限されており、オンチップで高Q値と導波路集積を同時に実現している共振器は未だに無い。本発表はQ値10の8乗オーダーであるシリカディスク微小光共振器に、追加プロセスを加えることでシリコンナイトライド導波路を集積したという内容であった。プロセス後もQ値10の8乗オーダーが保たれていた。
[FM1A.8] Bichromatically-pumped coherent Kerr frequency combs with controllable repetition rates
J. Yang1, S.-W. Huang, B. H. McGuyer, M. Yu, M. P. McDonald, G.-Q. Lo, D.-L. Kwong, T. Zelevinsky, and C. W. Wong
デュアルポンプは光カーコム発生において1.FWM発生の低閾値化、2.FSRなどのパラメータ制御、といった利点が挙げられる。本研究ではシリコンナイトライド共振器を用いて4-FSR間隔でコムを発生させた後に、2-FSRの共振周波数に2つ目のポンプを行うことで光カーコムを制御している。特に2つ目のポンプのデチューニングを調整することにより、光カーコムのモード間隔を40 MHz制御した。このとき2台のポンプレーザはMenloの光ガイバーコムを用いて位相同期されている。デュアルコムの研究数は多くはないが時折発表されてきており、彼らの発表ではデュアルポンプで広帯域の光カーコムを発生させることがfuture workであると話していた。
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