直交する二偏波モードを保持するガラス製フォトニック結晶共振器の開発

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直交する二偏波モードを保持するガラス製フォトニック結晶共振器の開発

水平・垂直偏波の両方に関して長い閉じ込め時間を達成

フォトニック結晶共振器は光を微小空間に強く閉じ込め,光と物質との相互作用を効率的に増大出来ることから光を利用した古典的・量子的信号処理に用いられることが期待されています.しかし,共振器形成に水平面上に形成した2次元・1次元の周期構造が主に用いられているため,構造の対称性の崩れから水平・垂直の両方向の偏光を同様に閉じ込める偏波無依存性の実現が一つの課題となっています.本研究では,シリカ製のナノビーム型フォトニック結晶共振器において水平・垂直の両方向の偏波に対して高効率の光の閉じ込めを実現すると共に偏波無依存性を有するフォトニック結晶共振器の実現への指針を示しました.

本研究で作製したナノビーム型共振器は1次元の矩形導波路に周期的に空孔を配置した形状をしています.屈折率が低いシリカを材料に採用したことで水平偏波の分散に対する周期構造の影響が軽減され,同一帯域上での水平・垂直偏波の共振モードの観測を可能にしました.性能指標である Q値としては両偏波モード共に1万以上と高い性能を示しました.この値は,シリカ製のフォトニック結晶共振器における最高性能値であり,先行研究における水平・垂直偏光の閉じ込めを持つ高屈折率なシリコンを用いた共振器に匹敵する性能となります.

本研究では,さらに共振器構造の対称性を高めることにより水平・垂直モードの共振波長の一致が可能であることを解析的に示しました.この手法は,偏波無依存性を有するフォトニック結晶共振器の新たな設計指針を示したものとなります.

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図: 構造の模式図とSEM画像および取得した直交する2偏波の透過スペクトル

本成果の一部は総務省戦略的情報通信研究開発推進事業(SCOPE)(#152103015)および日本学術振興会特別研究員奨励費(16J05171)の援助を受けました.
本研究はIEEE Photonic Journal Vol. 9, Issue 5 (2017)に掲載されます.