CLEO2012 吉岐 航
الأبحاث
CLEO2012@SAN JOSE報告書
田邉研究室 修士1年 吉岐 航
2012年5月6日から5月11日にかけて開催されたCLEO2012@San Joseに参加し,一件の口頭発表を行いました.本報告書では,CLEO2012の印象を簡単に総括させて頂きます.
【 全般的な印象 】
私は今回が初めての渡米(海外)でした.CLEO期間中については田邉と行動を共にしましたが,その他は単独行動だったので,個人的にはちょっとした冒険でした.開催地であるSan Joseは広々とした街です.開催期間中はずっと快晴で夏のような陽気でしたが,湿度は低いので,日本の夏とは違った心地の良い暑さでした.
CLEOは口頭発表件数が1000件を超える非常に大きな光関係の国際会議です.各国から人々が集まり,活発に議論が交わされていました.中でも中国系の参加者は多く,発表者の半分近く(?)が中国系でした.それに対して日本人の発表件数は10%にも満たなかったように思います.日本人はもっと積極的に海外に出ていかねばならないと強く感じました.
【 自分の発表について 】
今回私は”Rigorous analysis of bistable memory in silica toroid microcavity”(発表番号:CM2M.8)というテーマで発表を行いました.シリカトロイド微小光共振器中において光Kerr双安定メモリが実現可能であるかどうかを数値解析により検討する,という研究です.発表時間が午前のパートの最後だったせいか,聴衆は20-30人程度でした.発表自体は滞りなく行うことができましたが,やはり,英語での質疑応答は非常に難しかったです.質問の内容は,スイッチング速度に関するものと吸収損失に関するものでした.質問をしてくれるということは多少なりとも興味を持って聞いてくれているということなので,この点については良かったと思います.
【 注目した発表,最近の動向 】
CLEOではシリコンフォトニクスに関する研究が非常に盛り上がっていました.今年度からシリコンフォトニクスのShort-courseが開設されたことからも,その注目度が分かります.従来まではシリコンフォトニクス上に集積する要素素子に関する研究が主流でしたが,今回の発表では実際に光源,変調器,導波路,受光器を1チップに集積して動作させるという研究が増えてきました.IBMやLuxteraなど,企業の研究者による,商品化を意識した発表も目立ちました.
さらに,本研究室にも関連する分野である光周波数コムについてのセッションも大変な盛り上がりを見せていました(周波数コム専門のセッションがあります).特にCornell大のグループのオンチップで周波数コムを発生させる研究に関する発表の時には,立ち見が出るほど人が集まりました.周波数コムのセッションではCornell大の他に,VahalaやWeinerのグループ,Max-Plank研究所,JPLなどによる発表があり,世界的に有名なグループがこの分野に参入してきていることが明らかになりました.
個人的に注目したのは,CaltechのVahalaグループの超高Q値ディスク型共振器に関する発表,” Ultra-High-Q Wedge Resonators with Precise FSR control”(発表番号:CM1M.1)です.リフロー前のディスク型共振器のQ値は表面粗さによる散乱の影響で低下するというのが定説でしたが,この研究ではディスク側面の角度を鋭角化することによってWGモード分布を共振器表面深くまで押し込み,表面粗さの影響を抑制することによってQ>8×108を達成しています.
【 終わりに 】
今回CLEO2012に参加できたことは非常に良い経験となりました.研究の世界は私が思っていた以上に国際化していました.今後は英語に対して今まで以上に時間を割こうと決意しました.また,来年度もCLEOに投稿できるよう,今年一年研究に打ちこもうと思います.
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