Journal Club

年度別(4月-12月)

2025年度

発表内容:

光信号処理は,既存の電気的な処理が直面している信号帯域幅や消費電力,遅延時間などのボトルネックの解消を期待されている.光信号処理では,光信号に対して周波数,振幅,位相,時間遅延のパラメーターを調節することで処理を行うが,現状の光信号処理は特定用途(フィルタや光コンピューティング)に向けた回路が主流である.このような光回路は高性能である一方で,汎用性が制限されるという欠点がある.本研究では,汎用型プロセッサアーキテクチャの開発を目的とし,単一のSOIチップで画像処理,フィルタリング,信号等化という3つの異なる信号処理を実現した.

発表内容:

光格子時計などの超高精度な光周波数基準を利用するにあたり,これをRF信号として電気的に利用できる形で読み出すには光周波数コムによる光周波数分割(OFD)が不可欠である.しかし,単一のマイクロコムでは自己参照に必要な条件が厳しく,チップスケールでの実現が難しい.そこで,本論文ではVernier(副尺)デュアルマイクロコムシステムを用いて様々なビート信号を利用することでこの問題を解決し,344THzの基準周波数を入力として,これを235MHzのRF領域に分割することに成功した.これはVernier デュアルマイクロコムシステムを用いた光クロックOFDの初の事例である.