Journal Club

年度別(4月-12月)

2019年度

発表内容:

ファイバや微小光共振器を用いたソリトン発生は幅広い分野で用いられている.しかしながら外部光源を用いる場合,コヒーレンス性やモード間隔の制御,長時間での運用という点では課題が残っている.そこで本研究では,共振器内でブリルアン散乱を用いることで光カー効果を発生させる.この手法により,共振器長を変えることなく,繰り返し周波数をGHzからTHzまで変化させることに成功した.

発表内容:

光原子時計は近年18桁以上もの超高精度を達成しているが,その大きなサイズとバルク梱包の使用により広く応用されることはなかった.本研究ではシリコンナイトライドとシリカの2つの微小光共振器を用い,周波数ロックされたコムを用いてクロック信号を生成し,Rb蒸気セル内の光学遷移周波数を分割することで10^-13に近い安定性をもつ光原子時計の作製に成功した.

発表内容:

A feasible method for integrating several silicon (Si) photonic devices with operating wavelengths separated by several hundred nanometers on a single chip will greatly help increasing capacities of small optical communication modules. This work demonstrates the integration of two photonic crystal nanocavity devices that exhibit ultrahigh quality factors (Q) and operate at the 1.31- and 1.55-µm bands. A dual thickness Si-on-insulator substrate forms the base of the device. The two nanocavity patterns are defined by electron beam lithography on the thick and thin substrate regions and are transferred to the top Si layer by performing plasma etching only once. All dimensions of the fabricated 1.31-µm nanocavity are [1]15.5% smaller (1–1.31/1.55) than those of the 1.55-µm nanocavity; that is, they can be treated with the same photonic band diagram. Both nanocavities exhibit an ultrahigh Q > 2.0×106 and enable fabrication of nanocavity-based Raman lasers for the 1.31/1.55-µm bands with sub-microwatt threshold.

発表内容:

微小共振器の光周波数コムの主要な機能を一つのデバイスに統合する手法としてDP-MZIが提案されています。
この手法では、安定したDKSの生成に加えて、fceoとfrepの制御が可能になります。
実験では、DP-MZIを介したポンプ周波数とパワー変調によるfceoとfrepへの影響を調査し、続いて微小共振器ソリトンコムの長期安定かの実証が行われています。
また、TWDIを介してファイバを参照することにより、ソリトンコムのタイミングジッタが大幅に抑制されます。

発表内容:

ファイバレーザによる超短パルスは研究や産業のあらゆる場所で広く使用されている.これらはコンパクトさや安価さなどの利点を多く持つ一方で,高強度のパルスをファイバ内に閉じ込めることは望ましくない非線形効果を発生させてしまう.ここでは,その非線形効果を用いることでファイバレーザベースの増幅器を作製した.増幅結果は,利得帯域幅より広い帯域にスペクトルで,かつ約30 fsのパルス幅を達成した.

発表内容:

光学分光法は様々な学問分野や研究領域において光学分析を可能にする重要なテクノロジーである。デバイスとして小型化や高分解能化の需要が増加する中、この両立は課題とされてきた。そこで、本研究ではLN-SiNをマテリアルとした導波路構造を用いてフーリエ変換分光器を作製している。NIR領域の波長帯域500nmの広いレンジにおいて高分解能かつ小型の分光構造を検証している。

発表内容:

共振器を用いた高周波フォノンと光の強結合の実現は量子状態伝達,量子メモリ.量子変換などに用いることができるとされている.加えて,基礎物理学の研究においても注目をされている分野ではある.しかしながらGHzを超える機会振動モードで共振器での強結合状態を達成することは困難であった.
そんな中,本研究では11GHzのブリルアン散乱とシリカロッド共振器を用いて,光と高周波フォノンとの強結合をはじめて報告をしている.

発表内容:

 In this paper, we proposed a structure to realize an all-optical digital multiplexer. The proposed structure had two inputs, one control and one output port. Using the control port, one can decide which input port can be connected to the output port. The proposed structure consisted of two nonlinear photonic crystal ring resonators, L-shaped and T-shaped, and a straight waveguide. Total footprint and maximum delay time of the proposed structure were 479 um^2 and 3 ps, respectively.

発表内容:

散逸カーソリトン(DKS)は微小光共振器の非線形光学効果によって生じるパルス列であり,非線形光学と光集積技術に相容れるものである.DKSの1種であるソリトン結晶は,fsrの倍数間隔でコムスペクトルが生成することにより生じるソリトン状態であるが,そのダイナミクスは詳しくわかっていなかった.本研究では,LLEを解くことによりソリトン結晶の安定領域を導き,ポンプ光のdetuningとパワーを変えることによってソリトン結晶状態の変化を検証した.また,この結果は安定したシングルソリトン生成に応用が期待される.

発表内容:

シリカ光ファイバはその偏在性と低損失性から,国際的なテレコミュニケーションやIoTネットワークにおいて欠かせない存在である.本研究ではシングルモード及びマルチモードのシリカ光ファイバを3Dプリント法によって初めて作製した.この手法により従来の光ファイバの作製法では不可能だった形状のファイバ設計を可能にした.

発表内容:

本論文では、微小共振器の時間散逸カーソリトンに基づく光パルス列の非線形フィルタリングについて報告する。 分析および数値モデリングと組み合わせた実験結果は、ソリトンダイナミクスにより、キャビティのエネルギー保存時間より長いシステムの物理状態に関する情報を保存できることを示し、これにより、キャビティの固有の線幅よりも一桁以上大きくなる可能性のあるフィルター幅を生み出せる。このような非線形光学フィルタリングは、光学計測や低タイミングジッタの超短光パルス生成にすぐに応用でき、マイクロ波フォトニクスの新しい道を開く可能性がある。

発表内容:

固体超短パルスレーザにおけるパルス幅はレーザ結晶の発振帯域に制限される.そのため,利得の発振帯域を拡大する工夫が約半世紀に渡って行われてきた.
ここではスペクトル拡大の新たな手法として,誘導ラマン散乱を用いることによるパルス幅の大幅な短縮を報告する.一般的に誘導ラマン散乱を用いるスペクトル拡大方法はSynchronous pumping法が用いられている.本研究ではパルス光源とラマン散乱の,両者のスペクトルを利用することでスペクトル拡大を図っている.レーザの構成はYb:CALGOをレーザ結晶として用いたKerrレンズモード同期レーザで,スペクトルを拡大した結果,パルス幅は従来の1/3 (22 fs) に短縮された.

発表内容:

ランダムレーザーは共振器構造を用いずにレージング出来るデバイスとして従来から注目されてきた。しかし、その一方でランダム性を利用する特性上、デバイス特性の予測が困難であり制御することが難しいという課題があった。本研究ではフォトニック結晶構造に与えるランダム性を制御することで、レーザーの発振波長やモード数を含め多様な特性を制御できることを検証した。

発表内容:

大規模な光集積回路は量子情報通信にとってもまた非常に重要になる.しかしこれまでシリコンフォトニクスと単一光子源はそれぞれ独立に研究されることが多かった.この理由は材料の違いであり,シリコンフォトニクスで一般的に用いられる材料で単一光子源を作ることができず,どうしても別の材料が必要になるためである.
そこで本発表ではシリコンフォトニクスと単一光子源を組み合わせる先行研究を紹介しながら本研究グループの採用した手法とその利点を述べていく.

発表内容:

概要:光パラメトリック過程は新しい波長のコヒーレントな電磁放射の発生を可能にする.これにより波長を広範囲で変調することができるため,分光から量子情報処理に至るまでの様々な用途での応用が期待されている.しかし,既存の可変パラメトリック光源には欠点があり,その応用は制限されている.そこで本論文では超高Q値を示すフッ化マグネシウム結晶性微小光共振器を用いることで制限を克服し、広範囲で変調可能な側波帯を発生できるコンパクトかつ電力効率の高いデバイスを作製した.精密に設計した分散プロファイルを持ついくつかの異なる共振器について検討し、各共振器で数百ナノメートルの変調可能な側波帯を実現した.また1,083 nmから2,670 nmまでの光学オクターブにわたる変調性の観測に加えて4,000 nmで中赤外線側波帯を測定した.実証したデバイスは低コストかつ広範囲で変調可能な光源を実現することが期待できる.

発表内容:

光変調器は,理想的な特徴として低損失・低駆動電圧・広帯域・高線形性・省設置領域および低製造コストといった性質を持つことが望ましい.残念ながら,これら多くの指標を同時に達成することはこれまで難しいとされてきた.
本研究では,シリコンとリチウムナイオベートをハイブリッドに統合したプラットフォームに基づき,上述の指標を同時に満たすようなマッハツェンダ変調器を作製した.
その性能評価により,今回提案されたデバイスは,2.5 dB の挿入損失,単一駆動のプッシュプル動作で 2.2 V cm の電圧-長さ積,高線形性,少なくとも 70 GHz のEO帯域幅,および最大 112 Gbit/s の変調速度を示すことが実証された.
以上の成果により,今回提案したプラットフォームは将来の高速かつエネルギー効率・費用対効果の高い光通信ネットワークに向けた新たな可能性をもたらす.

発表内容:

レーザ活性媒質で作製されたWGM共振器は効率の良いコヒーレント光源として働く.しかしこのような高性能な出力を実現するには,挟線幅で高価なレーザ光源を用いる必要があり,実際に使用する場合には不適切である.そこで本研究では安価なレーザダイオードによる励起にも関わらず,安定した動作を行うWGM共振器について報告する.従来の問題点であった高次モードの懸念や,発振方向,出力パワーの低さと安定性を解決することが達成された.

発表内容:

We demonstrate a proof-of-concept saturable absorption based pulsewidth measurement (SAPM) by exploring the intensity dependent nonlinear transmission (i.e., saturable absorption) of low-dimensional material (LDM) carbon nanotubes. A minimum pulse energy of 75 fJ is experimentally detected with an average-power-peak-power product (Pav⋅ Ppk) of 5.44×10-7 W2 near 1550 nm. A minimum detectable pulse energy of 10 fJ with a Pav⋅ Ppk of 1.3×10-9 W2 is estimated with further optimization. The nanometer-level thickness and femtosecond-level decay time of LDMs allow ultrafast light interaction on a very small footprint, which potentially supports chip-scale characterization of ultrafast pulses with minimum distortion.

発表内容:

色を発する物理的な現象や原理には様々な種類が存在する。染料による選択的なスペクトルにおける光吸収、マイクロスケールやナノスケールの周期構造における分散と干渉などがその例である。本研究では、虹色の構造色を作るための新しい手法を実現している。そのために、多層液滴や3次元ポリマー、固体粒子を用いて新しい理論的予測と検証を行った。これにより、制御可能な構造色をマイクロスケールで設計出来ることを示した。

発表内容:

チップ上での情報通信および情報処理を加速させるためにも、これまで発展してきた電子回路にフォトニクスの技術を導入することが求められている。その際に問題になるのはEOおよびOEの変換部分でのキャパシタンスであり、この値が大きいとそれだけ多くの電荷が必要になるため、変換効率が低くなってしまう。そこで本研究では超低キャパシタンスを実現するためフォトニック結晶を用いた。それにより世界最小エネルギーで動作するEO変調器とアンプフリーなフォトレシーバーを作製することに成功をした。加えて、これら二つの素子をひとつのチップ上で組み合わせることでフェムトファラッドオーダーのOEOトランジスタを作製し、超低消費電力で波長変換や光増幅、光スイッチを実現した。

発表内容:

We present a graphene photodetector for datacom applications based on a silicon photonic crystal defect waveguide. The photonic structure is used to confine the propagating light in a narrow region in the graphene layer to enhance light–matter interaction. Additionally, it is utilized as a split-gate electrode to create a p–n junction in the vicinity of the optical absorption region. The photonic crystal defect waveguide allows for optimal photo-thermoelectric conversion of the occurring temperature profile in graphene into a photovoltage due to additional silicon slabs on both sides of the waveguide, enhancing the device response as compared to a conventional slot waveguide design. A photoresponsivity of 4.7 V/W and a (setup-limited) electrical bandwidth of 18 GHz are achieved. Under a moderate bias of 0.4 V we obtain a photoconductive responsivity of 0.17 A/W.

発表内容:

アナログフォトニックリンクは、ファイバ無線通信、キロメートル規模の施設での同期、低ノイズの電子信号生成などのアプリケーションに、高忠実度、高速な光-電気変換を必要とする。光検出器の非線形性は特に厄介な問題であり、超短光パルスを利用するシステムでは信号の歪み、および過剰な雑音を引き起こす。ここでは、高出力処理と高線形性のために設計された光検出器が広い光電流範囲にわたって、前例のない線形性をもつ超短光パルスの光ー電気変換を実行できることを示す。
本研究は、最先端のフォトダイオードに比べ、大きく性能が向上し、達成可能なマイクロ波パワーを大幅に拡大することに成功した。

発表内容:

MIXSEL(モード同期集積外部共振器面発光レーザ)は比較的新しい半導体レーザの一種である.レーザ発振およびモード同期に必要な利得媒質や可飽和吸収媒質を単一ウェハ上に積層することで共振器を構成する.作製コストが高いという点はあるものの,共振器長を積層数で制御できるため5 GHz ~ 100 GHzの繰り返し周波数を実現し,また出力パワーが数100 mWと高パワー出力であることが特徴として挙げられる.
本研究では繰り返し周波数が2.7 GHz,パルス幅150 fs,スペクトル幅13 nm(FWHM),出力パワー30 mWという性能のMIXSELを従来の製法とは異なる方法で作製し,ひずみ補正や利得媒質の工夫,熱処理方法の改善により達成した.発表ではMIXSELの構造や仕組み,VECSEL(垂直共振器型面発光レーザ)との比較,そして応用先について説明を行う予定である.

発表内容:

集積フォトニクス技術を駆使した微小光共振器による光周波数コム (マイクロコム) は,計測や通信およびセンシングに至る幅広い用途が期待される注目の光源である.特にシリコンナイトライド (Si3N4) を材料とするリング共振器は,集積性と高非線形性の両面をカバーするため近年多く利用されている.
本研究では,シリコンナイトライド共振器の分散制御により,波長1064 nmのレーザをポンプとして,波長767-1556 nmの1オクターブに亘る広帯域なマイクロコムを発生させた.また,マイクロコムのモード周波数を調整するため,寸法を変えた75個のリング共振器を含むチップを設計した.この単一チップ周波数コム光源は,原子分光に重要な近赤外領域から通信波長帯までの,あらゆる波長へのアクセスを可能とする.

発表内容:

リチウムナイオベートLN(LiNbO3)は高い2次の非線形性を持つ光学材料として有名である.特にLNを用いて電気光学効果によりコムを立てる研究は25年以上の長い歴史がある.しかし,LNはシリカ基板上に結晶成長できず,構造上の欠点から広帯域にコムを発生させることは困難であった.
近年,シリカ基板上にLNを接着させる技術が達成され,本研究ではその基板を用いてシリカ基板上にLNの導波路を作り,マイクロ波電圧をバイアスすることで非常に広い波長域(1560nm-1640nm)でのコムの発生を達成した.さらに,バイアス電圧の周波数を変化させることでコムの幅を自由に変えることができ,この技術はオンチップでのデュアルコム発生などに応用できる.

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