Journal Club

年度別(4月-12月)

2023年度

発表内容:

Topological photonic devices with dynamically tunable functions
are highly on demand in practice, but the majority of previously proposed
photonic systems have been limited to fixed performances, once fabricated.
Although several approaches have been proposed for obtaining the tunability
in topological photonic systems, they are limited to first-order topological
states and require rather complicated structures. Herein, second-order
topological properties of rhombic photonic crystals (PCs) are revealed, for
the first time, enabling to realize tunable photonic devices. For this
purpose, the conventional square lattice PCs composed of four rigid
dielectric rods are reshaped to rhomboid ones with preserved inversion
symmetry, which exhibit well-quantized bulk polarizations. Since the
eigenfrequencies of topological edge and corner states depend on the angle
between the neighboring sides of unit cells, the second-order topological
systems exhibit dynamic tunability, being useful for diverse applications
such as optical switching and flexible beam control. Unlike the previous
results for reconfigurable routing limited to special angles, this
lattice-reshaping mechanism has the ability to realize dynamically tunable
routing, extending the realm of applications of topological photonics. For
its simplicity and feasibility, this mechanical lattice-reshaping approach
paves the way toward higher-order topological photonic devices with
dynamically controlled functions.

発表内容:

高Q微小光共振器による散逸性Kerrソリトン(DKS)は,低ノイズかつ広帯域の並列なコム線を持つため既に数多くの分野で応用されているが,高い共振器内パワーと外部環境との大きな温度交換に起因する熱双安定性と熱雑音はソリトンマイクロコムの形成を妨げ,位相・周波数雑音を悪化させる.本研究では,高速周波数掃引と光サイドバンド熱補償を組み合わせた新たな手法を提示し,シングルソリトン状態になるための単純かつ信頼性の高い方法を提案する.また,ロッキングループを閉じることにより5.5e-15(積分時間1秒)のループ内繰り返し率不安定性を実現したことを報告する.

発表内容:

ラベルや捕獲剤を使用せずに高感度で分子を検出・同定する能力は、医療診断、脅威の特定、環境モニタリング、基礎科学にとって重要です。マイクロトロイド共振器は、ノイズ除去技術と組み合わせることで、ラベルフリーの1分子検出が可能であることが示されています。しかし、捕獲剤と標的分子に関する予備知識が必要です。光周波数コムは、微小光共振器のエバネッセントフィールド内にある分子の高精度な分光情報を提供できる可能性がありますが、空気中や水中の生体センシングでは、まだ実証されていません。特に水溶液の場合、カップリングや熱的不安定性、Q値の低下、モードスペクトルの変化などが障害となります。ここでは、微小光共振器を用いた単一分子分光法の重要な課題である、空気中または水溶液中に浸したときに可視から近赤外の波長で周波数コムを発生させることを実現しました。必要な分散はモード結合によって達成され、より大きなマイクロトロイドを用いることで達成可能であることを示しました。

発表内容:

ソリトンマイクロコムはその汎用性の高さから広く研究されている分野の一つである.精密な周波数ルーラーとして用いる場合マイクロコムは広帯域の位相コヒーレンスを示す必要があり,コムラインの位相雑音とそれに対応する光線幅がそのパラメータである.本研究はシリコンナイトライドの高Q微小共振器を用いて発生するソリトンマイクロコムの光位相雑音ダイナミクスを解析し,ラマン自己周波数シフトなどにより一部のコムラインの線幅がポンプレーザーの線幅よりも狭くなる場合があることを示すものであるソリトンマイクロコムの位相コヒーレンスにおける物理限界を明らかにし,分光コヒーレント光をチップ上で生成する際の新しい戦略となることを示す.

発表内容:

Erドープ結晶をレーザーダイオード(LD)で励起することで、低コス
トでコンパクトな構造の3μm近傍レーザーを得ることできる。CaF2とSrF2の結晶は、蛍石構造によりEr3+イオンが「クラスター」を形成しやすく、この効果によりEr3+イオン間の空間が短くなり、結晶内で激しいイオン間エネルギー移動がもたらされる。クラスターの存在により、自己終端プロセスが解決されただけでなく、Er3+ 2.8μmレーザー発生時の深刻な熱損傷も回避された。本研究では、温度勾配法を用いて高品質な1.7at.%Er:CaF2レーザー結晶の育成に成功した。LD励起2756.6nmレーザーの最大出力は2.32Wを達成した。これは、LD励起Er3+ドープフッ化物結晶で発生するレーザー出力としては、近年最高のものである。さらに、1532nmのLD励起による1.7at.%のEr:CaF2レーザーの性能も実証し、軽ドープEr:CaF2結晶内での強いエネルギー移動が証明された。これらの成果は、小型化・低コスト化を目指した中赤外レーザーの開発にとって貴重なものである。

発表内容:

フォトニクス技術の高速化に向けて,静的な電圧印加のみによって光学特性が自発的に変化するナノ構造体(フォトニック結晶)を提案する.提案したフォトニック結晶をPCSELに応用し,外部からスイッチング操作を行うことなくパルス発振が起こることを実証した.本成果は新しい方式によるPCSELパルス発生として意義があり,またキャリアフォトンダイナミクスに起因する現象のより深い理解にもつながるだろう.

発表内容:

生体深部のイメージングに用いられる2光子顕微鏡の発展に向け,Ndをドープしたカスケードラマンレーザの作成を行った.課題となる1060nmと900nm付近のモード競合を抑えるために,曲げ損失を利用し作成が容易なモードロックカスケードラマンレーザーの開発を行った.

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