Journal Club

年度別(4月-12月)

2015年度

発表内容:

非偏光性の誘電体多層反射器は重要な光学デバイスであり、光ファイバーや誘電体導波路、発光ダイオードに数多くの用途がある。今回我々は、3種の魚の広帯域グアニン-細胞質「銀色」多層反射体に見られる生物学的な非偏光光学機構の解析結果について報告する。それらの魚の銀色の皮下層には2種類の複屈折グアニン結晶が存在し、片方は光軸が結晶の長軸に対して平行であり、もう片方は光軸が結晶面に対して垂直である。それぞれの界面のブリュースター角が違うため、こうした配置によって反射の偏光が相殺される。これらの魚における反射機構は、反射体の低屈折率層と外部環境との屈折率差がないという重要な点で、既存の非偏光ミラー設計とは異なっている。この機構であれば、容易に製造できるうえ人工光学デバイスに利用できる可能性がある。

発表内容:

2光子吸収加工法によるレーザ微細加工は近年進歩した技術の一つであるが,作製したものの評価を行った例は多くなく,研究・実用にはあまり至っていない.本研究では2光子吸収加工法により直径数百nmのPMMAの高分子細線からなる小さいバネ構造を作製し,そのバネ構造が一般的 のバネと同様のしぐさを示すのか否かということの評価を様々な観点から行った.

発表内容:

本論文では,グラフェンとプラズモンを組み合わせた光変調器を作製し,その特性を評価した.光よりもグラフェンとの相互作用が高いプラ ズモンを介した変調方法を採用したことに加え,相互作用がより高くなるような導波路構造を用いることで,0.03 dB μm^-1を超える変調の深さをわずか10μm^2の面積で実現した.これは従来のシリコンを用いた光変調器に匹敵する性能を持ちながらも,より小型かつ 集積性が高いため,将来の光通信において重要な役割を担うことが期待出来る.

発表内容:

自由空間無線信号用の搬送波として0.1~1.0THz領域の電磁波の利用が考えられているが,テラヘルツ信号の多重化などが問題とされている.本研究では金属の平行平板導波路を利用したアンテナを使用し1オクターブ以上の帯域での周波数多重化を実証したことを報告する.

発表内容:

細胞操作,流体力学,マイクロロボティクスなどの応用を目指して光ピンセットに関する研究が盛んに行われているが,主に用いられているガウシアン状のビームでは大きな粒子を捕らえることが難しいとされていた.これに対して, 入射ビームの位相パターンを操作するだけで粒子をトラップする力を上昇させる手法(ENTRAPS)を提案し,実際に実験で一桁以上の向上を観測したことを報告する.

発表内容:

光ファイバーにおける非線形過程で重要なものに屈折率の強度依存性に起因する四波混合がある.今回私たちは正常分散ファイバーにおいて光学スペクトルが狭帯域化するため,独特なスペクトル分布で非常に安定な伝搬が実現するという新しい非線形自己作用効果,すなわち自己パラメトリック増幅について報告する,スペクトルの狭帯域化は逆四波混合に起因しており,スペクトルテールからのエネルギー移動によるスペクトル中央部の効果的なパラメトリック増幅に似ている.自己パラメトリック増幅と観測されたランダムな時間波形を持つ安定な非線形スペクトル伝搬は,光通信や非線形共振器内ダイナミクスを示す高出力ファイバーレーザーに応用できる.

発表内容:

データセンターやコンピュータ内でのデータ通信量が増大する今日,広帯域かつスループットの大きい伝送路が必要とされている.この論文では,従来のCMOS電気回路基板上に作製可能な光ポリマー導波路を実現している.これにより,光ファイバはボード端からのin/outputのみで使用されていたが,チップ間にも光伝送路が組み込めるようになった.

発表内容:

色の識別には狭線幅スペクトル応答が必要であるが,現行システムでは広帯域フォトダイオードと光フィルターが併用されており,構造が複雑になる上,カラーセンシングの質が制限されるなどの課題が生じてしまう.
本論文ではスペクトル応答を調節してフィルターレス狭帯域フォトダイオードを実現ずる方法を報告している.
ペロブスカイト単結晶を用いており,10月16日に玉木が紹介した論文と同じ分野の研究となっているため,性能の違いも含めた発表を行う.

発表内容:

全光信号処理の実現に不可欠である不揮発性全光メモリに対するニーズが現在ますます増えている.本研究では,結晶状態とアモルファス状態の間で光学的な性質が違う物質,Ge2Sb2Te5(GST)を用いた不揮発性全光メモリを設計した.書き込み用のパルス光をGSTを付加した導波路部分に導波させることで結晶状態とアモルファス状態間を遷移させることができ,読み取り用のパルス光を同じく導波した場合,その透過率を著しく変化させることができた.本デバイスは室温での駆動は勿論のことながら,繰り返し利用も可能であり,また3ヶ月以上のデータ保存も可能である.

発表内容:

三ハロゲン化有機鉛ペロブスカイトは溶液プロセスでバンドギャップの調製と作製ができ、安価であることから新しい電子デバイス材料として注目を浴びている。本論文では半値全幅が20 nmの非常に狭いスペクトル応答を示すペロブスカイト単結晶光検出器について報告する。この非常に狭いスペクトル感度は表面電荷再結合によって説明することができ、ノイズの影響を抑えたいセンシングやイメージング等のあらゆる分野での応用が期待される。

発表内容:

正常分散領域においてモード間相互作用を利用することで光カーコムを発生させ,それをモードロックすることに成功した.さらにそのスペクトルと時間波形を測定し,ダークパルスが生成されていることを確認した.正常分散領域でモードロックができれば,たとえば材料分散の大きい可視帯で共振器のデザインに自由度が生まれ,更なるコムの広帯域化に結びつくと考えられる.

発表内容:

本論文では,量子ドットと非対称なフォトニック構造によって構成されるキラルフォトニック回路によって,オンチップな非対称フォトニック素子が実現可能となることを示す.
このような素子は光子の通行方向という点において非対称性を持つため,単一光子ダイオードに応用出来るほか,さらには単一光子トランジスタ,確定的量子ゲートを構成する重要な要素となりうる.

発表内容:

微小な共振器内に光を閉じ込める光マイクロ共振器は、レーザーや非線形デバイスの実現から生化学センシングやオプトメカニカルセンシングまで、さまざ まな用途に広く活用されている。今回我々は、生体細胞の内部でマイクロ共振器と適切な光学利得材料を用いて、レーザー発振などのさまざまな光学的機能を生 体外で実証している。我々は、ウィスパリングギャラリーモードを利用するソフトタイプとハードタイプの2種類のマイクロ共振器を検討している。油滴を注入 して形成したソフト液滴や天然脂質滴を利用して形成したソフト液滴によって、細胞内でのレーザー動作が実現された。油滴マイクロレーザーのレーザースペク トルによって、細胞質の内部応力(約500 pN/μm^2 )とその動的変動が図示され、感度は20 pN/μm^2(20 Pa)であった。もう1つのハードタイプでは、貪食されたさまざまな大きさのポリスチレンビーズ内のウィスパリングギャラリーモードを利用して、容易に数 千個の細胞を個別にタグ付けでき、原理的にはさまざまな色素で多重化することによって、さらに多くの細胞へのタグ付けが可能になる。

発表内容:

光の広がり角を小さくするために,フォトリソグラフィーとリフローを用いて微小なレンズと導波路をチップ上に集積する構造を検討・作製し,その光学的評価を行った.その結果,一般的な導波路の広がり角が12.4°であるのに対し今回作製したものは1.85°とかなり改善された.また,従来の研究でもレンズと導波路を用いて広がり角を減らすものはあったが,本研究の方法ではSiON 導波路以外でも作製ができるという点も大きな利点である.

発表内容:

シリコンフォトニクスの技術を用いて,50 GHzの信号を出力できるRF信号発生器を実現しました.8つのマイクロリングを任意にチューニングすることで,π位相シフトや,振幅変調も可能です.パルス整形のため従来ならば数kmの分散補償ファイバを用いなければなりませんでしたが,本研究ではそれをオンチップで実現している点も優れている点です.

発表内容:

フォトニックチップ上に集積したシングル・マルチモード導波路を用いてモード多重・波長多重伝送の1×2 スイッチングを示す.このスイッチは10 Gb/sのデータを個別に伝送した時には10^-9以下のBERで1.4 dB未満のパワーペナルティを示す.同時に伝送したときには2.4 dB未満の追加パワーペナルティとなった.

発表内容:

ナノワイヤレーザは従来の半導体と同様の発振原理であるが,1万分の1の体積でのレーザ発振など次世代半導体技術として期待されている.これまでのナノワイヤレーザではバルク材料の光利得を用いてきたが,本研究では量子ドットを活性層にもつナノワイヤレーザを作製し,室温でのレーザ発振を実現した.

発表内容:

Vernier effectにより異なるFSRを持つ二つの共振器の干渉を利用することで,FSRのわずかな変化でも干渉フリンジのピークを1チャンネル分シフトすることが可能であり,また励起するモードを制限することができる.しかしながら従来法では二つの共振器が結合することにより共振周波数がスプリットする.
そこで本研究では,二つのリング型共振器を導波路で間接的に結合させることで,共振周波数はスプリットせず,共振器内部の位相状態(共振周波数の虚数部)がスプリットする系を提案した.スプリットした状態の内,Dark stateと呼ばれる状態でレーザ発振を行うことにより,従来のVernier effectと同じ効果が期待できるとともに,共振周波数がスプリットしないことが本論文では述べられている.

発表内容:

メタマテリアルは負の屈折率を示す事など自然界に存在する物質では有り得ない性質を示す為新たな光学デバイスとして注目される物質である。しかし3次元構造では伝搬損失が大きい為,Hyperbolic metasurfaceとよばれる2次元構造のメタマテリアルが研究されている。今回はHyperbolic metasurfaceを用いた可視光帯のプラズモン伝搬について特異な性質・振る舞いを紹介する。

発表内容:

シングルモードファイバーに関する技術研究が盛んに行われている一方で、マルチモードファイバーでおきる複雑な非線形現象に関する研究、とくに実験はあまり行われていなかった。本研究ではマルチモードファイバーに対してパルスの入力条件を空間的に変化させることで、さまざまな非線形現象をコントロールできることを実験的に示した。

発表内容:

量子暗号通信の実用化に向けて,現在は安全でスケーラビリティのある量子ネットワークを作ることが課題となっている.この課題に対しての1つの解決策が測定装置無依存性の導入であり,このプロトコルにより長距離鍵配送は可能になったものの,鍵レートが低いという問題がある.本論文では連続変数系を用いることでこの問題が解決できることを理論・実験の両面で示し,現在達成されているものより3桁高い鍵レートを得ることに成功した.

発表内容:

本論文では,微小共振器内の正常分散による平らなピークをもつ散逸ソリトン,プラチコンの存在を予測している.cw励起光からプラチコンを生成する方法を述べ,その持続性がデチューニングによって大きく左右される可能性を示唆する.Lugiato-Lefever方程式によるダークソリトンの離散エネルギースペクトラムが,プラチコンの準連続スペクトラムに変換されることを論証する.また,位相・振幅変調された励起光によって,あるいはレーザ入射を固定することによっても,似た構造を生成することができる.

発表内容:

本論文では,誘電体装荷表面プラズモンポラリトン導波路(DLSPPW)に基づく,ブラッググレーディングと方向性結合器の組み合わせによる新構造の超小型マルチプレクサを提案する.作製されたマルチプレクサは長さ20 μmで,波長が70 nm離れた通信波長帯の光の分離が可能であることを,シミュレーションと実験によって実証した.

発表内容:

素子面積が小さく,光集積回路を実現する上で必要不可欠な光アイソレータを実現した.実現にあたって,非対称構造のフォトニック結晶から生成されるFanoスペクトルを利用した.光アイソレータとしての性能は10 Gbpsで動作し,かつ消費エネルギーは4.5 fJ/bitである.

発表内容:

光周波数コムはその正確さとコヒーレントさから光周波数計測や分光計測に用いられている.分光計測するときに,光周波数コムは全繰り返し数増幅と励起共振器を組み合わせることでマイクロジュールレベルのエネルギーを持つパルスにしていた.本論文では選択的に2つのパルスをミリジュールレベルのエネルギーにして行う分光法を報告する.この分光法は従来の方法と同程度の精度を持ち,場合によっては最大30倍の精度を達成することができた.

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