研究テーマ
微小光共振器による光周波数コムの開発
- 内容
強く光を閉じ込めると,非線形光学効果とよばれる現象が得られます.これが生じると様々な波長の光を発生させることができます.微小光共振器を適切に設計すると,等間隔に櫛(comb:コム)状に立ったスペクトルを持つ光を発生することができます.これを光周波数コムと呼びます.
フーリエ変換の関係を考えれば,光周波数コムは時間領域では高い繰り返しを持つ光パルス列となることがわかります.時間領域の高繰り返し性を活用すれば,大容量光通信やLiDAR(自動運転に不可欠なレーザを用いたレーダ)などの応用が考えられ,周波数領域では波長多重光通信,天体観測や時間標準用の光源としての利用が期待できます.
- 研究のポイント
一言で「微小光共振器」と述べても,様々な材料(例えばSiN,SiO2,MgF2)や様々な設計によるものがあります.どの材料を用いればよいか,どのような設計の微小光共振器を用いればよいかは,自明ではありません.それぞれの応用に適したプラットフォームを選択して,高い性能の素子を設計&作製しなくてはなりません.設計では様々なソフトウェアを組み合わせる必要があり,作製では高価なナノ加工装置を操らなくてはなりません.レーザ加工技術も一部組み合わせたり様々なアイディアが求められます.
光学実験は様々なレーザ機器を制御しながら行います.例えば,出力される光信号は,電気信号では測定が難しい高い周波数の信号が含まれるので,それをどのように正確に計測するかというのも,研究の難しいポイントです.
将来的には光信号を発生させるだけなく,光通信に用いるための価格性能を実現したり,宇宙利用で衛星に搭載させるための堅牢性を実現したり,天体観測やセンシングに適した波長で実現したりと解決すべき課題はたくさんあります.また光コムは電気の世界と光の世界を結びつけるギアとして利用できることが知られているので,そうした性質を利用してこれまで考えられてこなかった全く新しい応用を見出せるかもしれません.
- 研究プロジェクト
これまでにない性能を実現した微小光共振器を作製するために超精密加工と呼ばれる技術を用いています.そのために加工のプロであるシステムデザイン工学科の柿沼研究室と共同研究を進めています.
様々な応用が期待されており,その一つとして宇宙利用を拡げるためにJAXAとの共同研究を進めています.将来的には衛星に搭載して宇宙空間における量子暗号や光通信に展開させたいと考えています.
また,大容量光通信を実現するために総務省系のプロジェクト,さらにはデータセンタで必要となる大容量で低消費電力な光集積回路用光源を開発するために,3大学・1国研・5企業が参加する経産省系のプロジェクトに参画しています.
《 Keyword 》
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2024年度配属生向けの研究室説明会を実施しています.オープンラボは自由に研究室に出入りしてください.また,いつでも個別説明会を受け付けます.
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- 10/23(月) 16:30~ 説明会1回目 (場所: 14棟2階 DS43)
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