CLEO 2022 中島 綾太
Research
CLEO 2022 参加報告
15th-20th May 2022, Convention Center, San Jose, USA
修士2年 中島綾太
1.CLEO2022について
本会議はフォトニクスに関する国際会議であり,今年は現地とオンラインのハイブリッド形式で開催された.一昨年および昨年は完全にオンラインでの開催であったため,3 年ぶりに現地で開催されたこととなる.ワクチン接種の確認やマスク着用が必要であり,新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響が残っていたものの,サンノゼの会場には,世界中から多くの人が集まっており,セッションによっては会場に入りきれないくらいの人が聴講に訪れ,盛況していた.
2.報告者の発表について
タ イ ト ル : Deterministic Generation of Perfect Soliton Crystal Assisted by Saturable
Absorption
発表者:Ayata Nakashima
所属:Keio University
発表番号:SW5H.4(Wed, May 18th)
カーボンナノチューブを付与した微小光共振器でのソリトン発生についての発表を行った.カーボンナノチューブの持つ可飽和吸収効果により,等間隔に並ぶソリトンパルスが決定論的に生成できるという内容である.パワーポイントの発表者ビューを表示させようとすると,発表者ビューごと共有されてしまうというトラブルが生じてしまい,発表者ビューなしで発表することとなってしまったが,落ち着いて発表することを心掛けた.オンラインで開催された昨年の発表では,質問内容をチャット欄で確認することができたが,今回の発表は対面であったため,英語の聞き取りに苦戦した.
3.聴講した発表
タイトル:Stability and Deterministic Generation of Single Solitons and Soliton Crystals
in Microresonators With Avoided Crossings
発表者:Zhen Qi
所属:University of Maryland Baltimore County
発表番号:JW3A.47(Wed, May 18th)
スタビリティーマップを用いた数値解析により,N 周期のソリトンを生成するために必要なパラメータを明らかにするという内容のポスター発表.特に,通常の LugiatoLefever 方程式に加えてモード交差を考慮する場合,シングルソリトンもしくはソリトンクリスタルの安定領域が拡大するそうである.ソリトンクリスタルの数値解析は私自身が取り組んでいる研究と非常に近い内容であり,参考になった.
タイトル:Dark-Bright Soliton Frequency Combs in a Microresonator
発表者:Shuangyou Zhang
所属:Max Planck Institute for the Science of Light
発表番号:SW4F.6(Wed, May 18th)
“Quantum Metrology for High Precision Measurement”というセッションであったが,マイクロコムに関する発表があった.2 波長ポンプを用いることで,正常分散で生成するダークソリトンと異常分散で生成するブライトソリトンが,対になった状態を実現したという内容.それぞれのソリトンが同じ速度で共振器を周回することが必要であり,ミスマッチがあった場合の影響を詳しく調べていた.波長領域で 2 つのコムを発生させ,時間領域ではそれぞれのソリトンが合わさることでほぼ一定のパワーを示す状態となっており,物理的に面白い現象だと感じた.
タイトル:Inverse Spectral Design of Microcombs: Meta-Dispersion in PhotonicCrystal Ring Resonators
発表者:Erwan Lucas
所属:National Institute of Standards and Technology
発表番号:SW5H.1(Wed, May 18th)
波長分割多重通信等への応用を見越し,フラットトップな包絡線を持つコムの生成を 目的とする研究.“Inverse“ Lugiato-Lefever 方程式を解くことで,理想状態のコムに必要な分散プロファイルを計算する.そして,これをリング共振器の内側に多重周期の波状構造を持たせ,モードスプリットを引き起こすことにより実現する.コムのスペクトルを自在に操作できることは,さらなるマイクロコムの応用に向けて,非常に有用であると思う.