APC 2022
Research
APC 2022 参加報告
25th‐28th July 2022, The Maastricht Exhibition & Conference Center, Maastricht, Netherlands
修士2年 菅原 漱人
1.Advanced Photonics Congress2022について
7 月 25 日 – 7 月 28 日にオランダ,マーストリヒトで開催された Advanced Photonics Congress に参加した.自身としては 2 回目の国外開催の国際学会である.現地開催の学会が増えつつあることから世界的にコロナウイルス以前の状態に少しずつ戻っていることが感じられる.開催地がヨーロッパであったので現地に来るのはヨーロッパ圏の人が多いようで,アメリカや中国の参加者はオンラインでの参加をしており,ハイブリッド開催の利点をうまく発揮しているように思う.
本学会は Congress の形を取っているので複数の Conference が集まって一つの学会を構成している.私が参加したのは Nonlinear Photonics というもので,その名の通り非線型光学を主なテーマとしている会議である.他にも Integrated Photonics Research や Photonic Networks and Devicesなどの Conference があり,それらを自由に見ることができたので興味深い学会であった.初日に行われた Conference Reception ではステーキやワインなどを楽しむことができた.
開催地である Maastricht はオランダのほぼ最南端に位置しており,電車に乗って数分でベルギーに入国することができる.また,ドイツもかなり近く,30 分程度で国境をまたぐことができる.実際に今会期中のホテルはベルギーの Visé に宿泊し,空港や PCR 検査はドイツに位置していた.そのせいで困ったこともあり,Visé はベルギー南部に位置するのだが,ベルギー南部はフランス語圏であり英語がレストランなどで通じなかった.私はフランス語については全くわからず相手も英語がほぼわからないようだったのでボディランゲージのみで注文などを行うことになってしまった.ヨーロッパに行くときは語圏に注意が必要であることを痛感した一件であった.
2.報告者の発表について
今回の発表はラマンコムの安定性及びコムの縦モード間隔の測定結果の MI コムとの比較とラマンコムを用いた伝送実験の結果についてであった.発表形式はオーラルで,現地で実際に登壇し発表を行った.5 月に CLEO で発表したときに比べると,今回は事前準備をよりきちんと行っていたので良い発表ができたように思う.しかし,英語力の問題は一朝一夕で改善するようなものではなく,質疑応答の場面で質問の意図がわからずその場で答えられなかったことが改善点である.質問自体はセッションが終了した後に個別に会話をして解決したが,内容は本発表の非常に重要な部分についての質問であったのでその場で答えられるべきであった.
3.関連する研究の紹介
PIC について歩留まりを改善するために,フィードバック回路を同時に実装して作成後にキャリ
ブレーションを行うというもの.現状の PIC 製造ではファブリケーション,パッキング,プロトタイプ作成それぞれでテストが必要であり開発サイクルの遅延や値段の高騰などが避けられない.
このテストをデザインの段階で組み込んでおくことでテストを一本にまとめようとしている.
チップは以下のようにデザインされ,キャリブレーション用に作成された導波路を用いて作成後
にテストとキャリブレーションが可能になる.
(図は著作権の関係で掲載できません.)
本発表ではプロセスとして Demultiplexer を用いている.Demultiplexer のパラメータとして
Wavelength, Side mode suppression ratio (SMSR),Output power (OP) があるが,事前にキャリブレーション回路を用いて事前にプロセス部分にかける電圧とこれらの関係を計測しておくことで製造誤差を補正できるとしている.実際に, Wavelength については求める値とほぼ一致していることが確認できている.
MEMS(Micro-electromechanical systems) を用いて 2x2 の高性能な光スイッチを作成し,プログ ラマブルな光回路を実現したというもの.電子回路における FPGA のようなものを光回路におい ても実現するためには,コンパクト,低遅延,低損失で有ることが求められるが,MEMS を用いた 光スイッチによってこれらを実現している.構造は光カプラーであるが,導波路間の距離を制御することによって次のような接続が可能である.
(図は著作権の関係で掲載できません.)
スイッチの耐久性についても振動や温度については耐久試験を行っており問題ないとのこと.こ
れらのスイッチを六角形状に配置することによってプログラマブル光回路を実現している.例えば下図のようにスイッチを設定することで赤線部分が共振器として動作する.
(図は著作権の関係で掲載できません.)