ALPS’17 廣田 直弥

Research

ALPS’17 報告書

会期 2017 年 4 月 18 日~4 月 21 日会場 パシフィコ横浜

修士 2 年 廣田  直弥

1.学会概要

4月18日から4月21日にかけてパシフィコ横浜にて開催されたALPS’2017での学会発表に関して報告する.ALPS (The 6th Advanced Lasers and Photon Sources)はOPIC   (Optics & Photonics International Congress)という国際会議の中の専門会議の一つである.OPICは光・レーザー技術を基盤とした学術及び産業に関する最先端の研究・開発を国際的に集め,日本で行われる唯一の光関連の 国際学会として位置づけられる.OPICは2012年に初めて開催され,毎年パシフィコ横浜を会場としており,今年で第6回目開催となる.

2.自身の発表について

「Growing Carbon Nanotubes on a Silica Toroid Microcavity to observe Saturable Absorption」というタイトルで発表を行った.発表内容は卒業論文の内容にプラスしてCNT部分的成長の安定化の成果を加えたものだった.発表自体に関して,就職活動最中の初めての国際会議での口頭発表であったが自分なりに最大限準備し,当日の発表はキッチリ時間通りに終わらせることが出来,自分でも納得のいく発表が出来たように思う.質疑応答は,事前に想定していた質問にはない質問をされ,咄嗟に質問内容を理解しかみ砕いて説明することが出来ず,やはり難しいと感じた.

3. トピック紹介

ALPS11-2 (invited)「Broadband ultrafast nonlinear photonics in nanocarbons」

Single-walled carbon nanotubes (SWCNT)の可飽和吸収特性を利用したモードロックファイバレーザーに関する発表だった.用いられている可飽和吸収デバイスのイメージが図1であり,東大の中村研が作製していた,表面を削ったファイバにCNTを合成させたデバイスと酷似していた.また,ファブリケーションのプロセスがスピンコート⇒CVDによりCNTを成長させるというもので,CNT成長プロセスが牧研にて行っているトロイドへの成長プロセスと似通っていた.自分がこの発表で注目したの は吸収特性の測定法である.図2にある実験セットアップのように可飽和吸収デバイスに対してファイバを通して入力しており,自分が想定していたZ-scan法のような,アライメントの難しい空間系を構 築せずにエバネッセント光とCNTとのカップリングによる吸収特性が測定できるため,デバイスさえ作れれば田邉研でも測定は容易に行えることが予想される.図3は偏波を変えて吸収特性を測定した結果であるが,CNTの吸収特性には大きな偏波依存性があることが分かる.すなわち,CNTのSAは偏波を変えるだけで広くチューニング出来るということであり,そのチューニングレンジを利用することで,一つのデバイスでCW光,モードロックパルス,Q-スイッチ,Q-スイッチによるモードロックパルスを生成した.