FiO/OSA 2013 伏見 亮大

Research

FIO2013@ORLANDO, FLORIDA 学会参加報告

理工学研究科田邉研究室 修士1年  伏見 亮大

2013年10月15日

招待講演がかなりの割合を占めており,通常の講演と比べて圧倒的な研究の質の高さを感じた.
以下は自分が特に興味をもった研究等について着目していく.

(Conference plenary lecture)
John E. Bowers, “Silicon photonic integrated circuits and lasers”

Si光回路の研究の第一人者.講演では,光回路の現状や背景を説明した後,回路を形成する各素子について説明した.その中でも自身の研究と関係のあるものに,SiN導波路とSi導波路とのナノテーパによる結合があげられる.
IMEのチップにおいてはSi層とSiN層の間にはシリカ層が挟まれているため同じようにはできず,グレーティングカップラを必要とするが,2つの層が隣接しているのであれば,ナノテーパによる結合が可能である.
ナノテーパは,スポットサイズコンバータ等で用いられているが,設計に関する研究はすくない.光回路分野の発展にとって各素子のより詳細な研究も面白いと考えており,ナノテーパは穴場と感じている.

Jared F. Bauters, et.al., “Integration of Ultra-Low-Loss Silica Waveguides with Silicon Photonics”, IEEE Photonics Conference 2012, September 27, (2012)
光回路のセッションを聞いていると,研究の方向性がトップデータを求めるのではなく,実用的なシステム構築に変化していることがわかる.工業化(まずは光インターコネクト)に向けた動きがあるなか,IMEを最大限利用してファブレス化を図るか,それともスピードを重視して独自でノウハウの蓄積を行っていくかのどちらを選択するかはわからないが,実験をしてこそ世界に認められる研究になると考えている.

(LTu2G.2)
Jonathan C. Knight, “The Good Bits and Pieces of Microstructured Fibers”

Hollow fibreは中空構造をしたファイバである.特徴は通常の光ファイバであれば透過しない,というよりも吸収してしまうような中赤外の領域を導波させることができる点にある.なんと10.6 μmの波長をもつCO2レーザ光をも伝搬させるのである.空間をミラーなどでとばすよりも安全ではないだろうか.ファイバが損傷を受けたら危険ではあるが,さまざまな工業的応用が考えられる研究である.

Fei Yu, et.al., “Low loss silica hollow core fibers for 3–4 μm spectral region,” Opt. Express 20, 11153-11158 (2012)
フォトニック結晶のセッションの総論
フォトニック結晶のセッションではナノビーム共振器が多く取り上げられていた.目的はセンサ応用が主であったが,半径をただ線形に変化させるだけというその設計指針の容易さがこの流行を作り出しているのではないかと考えられる.また,スロット共振器もいくつか紹介されていた.

(FW4E.2) J. Burr, et.al. “Giant Slow Wave Resonances in Coupled Periodic Silicon Optical Waveguides”

(FW4E.5) S. Makino, et.al., “Structural Dependence of Nonlinear Characteristics in Coupled Resonator Optical Waveguides Based on Slotted Nanobeam Cavities”

この共振器の魅力は何と言ってもその圧倒的に小さいモード体積だろう.L3共振器のeffective mode volumeが0.75程度に対し,スロット共振器は0.1と小さい.アプリケーションの必要エネルギーがに比例するとき,Q値が1/8.5になっても同じエネルギーで動作させることができるのである.Millerも電子デバイスにおける量子ドットに匹敵する光学素子を作るにはModerate Q & Very small V 共振器が必要と言っていた.私見では,現実的な素子を作るには,より高Q値なPhC共振器よりもほどほどなQ値にslot共振器等のモード体積が小さい構造が今後の中心になると考えている.プラズモンはモード体積は小さいものの共振周波数の制御が容易ではないため,現実解はPhC共振器なのではないだろうか.