8角形トロイド共振器を用いた光入力制御

Research

8角形トロイド共振器を用いた光入力制御

微小光共振器の光入力安定化に向けて

以前の研究成果ではFDTD法による解析を用いて,微小光共振器の8角形状化による光入力制御を提案しました.そこで本研究では実験的にこれを確認し,共振器の形状をデザインすることで光入力の制御が可能となることを示しました.

図1:(a) 結合モード理論を用いた光結合の強さの計算結果

(b) 8角形トロイド共振器の電子顕微鏡写真

本研究で用いたシリカトロイド微小光共振器はウィスパリングギャラリー共振器と呼ばれ,直径1-2μmの細い光ファイバを共振器に接近させることで,近接場光により光を入力しています。この方法は非常に高効率な光入力を可能としますが,一方で空間的な位置関係の微小制御(sub-μm)が必要なため,機械的な振動に弱いという欠点を持っています.そこで機械的に安定である共振器と光ファイバが接触している状態であっても、最適な効率になるような共振器のデザイン・作製を行いました.その結果を図1に示しました.(a)は結合モード理論を用いた計算結果であり,横軸は共振器と光ファイバの距離(0 nmが接触状態),縦軸は光の結合(入力)の強さを表しています(値が小さいほど結合が強い).これを見ると光を入力する位置によってその強さが異なることがわかります.

図2に8角形トロイド共振器の測定結果を示しました.横軸は共振器と光ファイバの距離であり,縦軸はどれだけ光が入力されているかを表しています(値が小さいほど最適).これより光入力が辺(赤)と角(水色)の部分で異なっており,辺の部分を利用することで最適な入力が可能となることがわかりました.この結果より,微小光共振器の実用化に向けた光入力の安定化手法を提案することができました

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図2: 共振器に光ファイバを接近させたときの光入力の変化

本研究の一部は戦略的情報通信研究開発推進事業(SCOPE)の委託研究として実施されました.
本成果は AIP Advances 5, 057127 (2015) に掲載されています.