CLEOPR 2022 菅野 凌
Research
CLEO-PR 2022 参加報告
31st July -5th August 2022, 札幌コンベンションセンター
修士2年 菅野凌
1.CLEO-PR2022について
本会議は隔年開催で行われるCLEOの分会のような立ち位置の国際会議である.2022年はハイブリット開催であり,環太平洋地域以外にもインド等西アジアの方もオフライン,オンライン双方で見られた.札幌開催の事もあり基本的には日本人が多くポスターセッション等では日本語で説明してもらえる等,国際会議にしては理解しやすい学会であった.
CLEOとの違いとしてはオンデマンドが存在しないことが欠点として挙げられる.そのためハイブリッド開催ながらもオンラインの良さはあまり感じられなかった.しかし,Receptionがない代わりに飲食物は至る所においてあった上,協賛の方々のスペースも入口付近に用意されており,当研究室でもお世話になっている企業がいくつか見られた.
2.報告者の発表について
タイトル: Low-cost photonic crystal spectrometer using up- conversion
発表者:Ryo Sugano
所属:Keio University
発表番号:CFP8I-01(Fri, Aug 5th)
アップコンバージョンを用いて通信波長帯を可視光に変換する分光器について発表した.
導波路幅を徐々に狭くしたチャープ構造となっているランダム性のあるフォトニック結晶導波路を用いており,入力波長に応じて局在光の漏れ出る位置が変化する.この局在光は非常に波長依存性があるため分光を行うことが可能であり,この漏れ出た光を波長変換することで,高価なIRカメラではなく安価なCMOSカメラでの撮影を可能にした.また,当研究室にて行っていた従来の手法では分光結果が出るまで時間がかかるという問題点があった .それを改善するべく深層学習を用いることでサブ秒以下まで短縮することができた.
質問はすべて聞き取れたが,返答を英語にできず妥協した回答になってしまったことが残念だ.
3.聴講した発表
タイトル:Strong Phase-Noise Suppression of a Kerr Comb via synchronization to an Optical
Parametric Oscillator
発表者:Jae K. Jang
所属:Columbia University
発表番号:CTuP6A-02(Tue, Aug 2nd)
Lipson & GaetaのSiN上にてモードロックしたKerrソリトンと3次のパラメトリック発振を同期した研究である.パラメトリック発振器がマスター発振器となっており,その優れた位相雑音特性をKerrコムに伝達することによって位相ノイズが劇的に改善された.OPOのサイドバンドに関する設計及び計算が重要である分散計算も行っている.
それぞれの共振器は熱制御のためのヒーターがついており,SiNの膜厚は730 nmである.
タイトル:Integrated Silicon photodetectors in Silicon Nitride-on-SOI platform
発表者:Shankar Kumar Selvaraja
所属:Indian Institute of Science
発表番号:CThP8F-01(Thu, Aug 4th)
SiNとSiをマルチレイヤー方式で接合しSi側でPIN接合のある整流器までの動作を実験にて確認した発表であった.850 nm帯で稼働させており,検出器の集積,および短距離伝送に使うことを目標にしている.接合部のロスは2.3 dB/couplerとほかのマルチレイヤー型の研究と比べて少々大きいが,一連の実験まで行っているのは脅威である.
SiNの膜厚は0.4 µmであり過去の論文ではSiN側にリング検出器を載せた研究もあるため,コムを立てることをあまり第一目標にはしていないようだが,WDMも視野に入れているようだ.800 nm帯では分散的にこれほどの膜厚がよいのであろうか.
タイトル:Enhancement of Fiber-to-Wveguide Coupling Efficiency of Silicon Nitride Integrated Optical Circuits
発表者:Xiaotian Zhu
所属:City University of Hong Kong
発表番号:CTh12D-07(Thu, Aug 4th)
SMFとSiNを効率よく接合する研究である.高屈折率のシリカガラスを入れることで挿入損失を小さくしている.サンプル差もそこまで大きくない.マルチレイヤーかつ工程も3段階と非常に多い事,Gapに対する波長依存性が大きいようでC-Band帯ではロスが小さいが今後可動帯域を広げる分には問題となりそうである.またSiNも膜厚が1.0 µmらしく今後コムの生成を目指していると思われる.