CLEO-EU2019 今村 陸

Research

CLEO/EUROPE-EQEC 2019 参加報告

23-27 June 2019, Munich, Germany

修士1年 今村 陸

1.会議について

CLEO/EUROPE-EQEC 2019が6月23日から6月27日の4日間,ドイツ・ミュンヘンにて開催された.この会議は隔年で開催される光エレクトロニクスを中心とした会議であり,毎年アメリカ・サンノゼで開催されているCLEOの姉妹会議である.開催地の影響か,ヨーロッパからの参加者が特に多いように感じられた.学会への印象として,当研究室が属する分野においては有名な招待講演が少なく,また日によっては似たセッションを同じ時間に行っており,気になる発表を聞くために次々と移動しなくてはならなかった.その一方でレーザの加工応用に関するセッションなど,注目度の高いテーマは細かいテーマ分けがなされており,より深い議論が行われていた.また展示会には国内外から多くの企業が参加していたため,全体を見学しながらも高揚感を感じさせる展示となっていた.

2.発表

今回の発表はこれまで応用物理学会(3月)とALPS(4月)で発表してきた内容の進展であった.微小光共振器とカーボンナノチューブを用いたモード同期レーザという内容は想定よりも注目を集めており,初日の夕方かつ同時間帯にショートコースや招待講演が行われていたにも関わらず数十人の聴講者の前で発表を行った.微小光共振器のセッションではなくActive deviceという大きなくくりであったため,普段気づかないような質問を受け,とまどいつつも振り返ると気付きの多いセッションであったように思う.今回が海外で行われる学会では最初の発表であったためもちろん緊張したが,その反面,これからの発表に活かせる反省点を見つけることができた.他の発表を聞くことで世界の研究のスピードを肌で感じることができ,これまで以上に自分のテーマに対する姿勢を鑑みる機会となった.

3.関連研究

興味深かった発表は ”New trends on laser ablation” というレーザ加工に関するセッションであった.特にこのセッションでは2016年のNatureに掲載された,F. O. Ildayのグループによる,”Ablation-cooled material removal with ultrafast bursts of pulses” [1] について議論がなされていた.従来のレーザ加工にはkHz ~ MHzの繰り返し周波数のパルスが用いられていたが,繰り返し周波数がGHzのパルス列を用いるバーストモードによって加工を行うと非熱加工が可能となる.このアブレーションクーリングに関する発表が目立ち,ほぼすべての発表で[1]の論文が紹介されており,注目度を実感した.ファイバレーザをバーストモードで駆動するにあたって重要なのはパルス毎のパワーであるため,そのパワーの効率化や高出力化に関する発表が行われた.またバーストパルスはシングルパルスと比較して加工の深さや効率が高いという報告もあった.もちろん全てがファイバレーザによる実験であり,微小光共振器を用いた発表はなかった.しかしアブレーション加工への応用を視野に入れると,すぐに役に立つわけではないが,具体的な目標が明らかになったため参考になるセッションであった.

4.周辺調査

会議の間,ミュンヘン市内や周辺都市を観光する機会が数回あった.建物は歴史的なものと近代的なもののバランスが取れており,街中を散歩しただけでも美しい建造物に出会うことができた.またザルツブルクは景観・歴史ともに揃った,素晴らしい街であった.ミュンヘンから電車で2時間程度の場所にあるザルツブルク(オーストリア)は,丘の上にある城とその城下町からなる街で,多くの音楽家の生家や映画のロケ地として有名な観光地である.当日は駅で知り合ったドイツ人のお父さんに1日中街を案内してもらい,街の歴史や穴場などを紹介して頂いた.最終日にミュンヘン工科大学のポスドクである知り合いと訪れたアルテピナコテークには,西洋美術史において欠かすことのできない傑作たちが展示されており,教科書などで目にするマスターピースをこの目で見ることができ,つい長居をしてしまうほどであった. 以上がCLEO/EUROPE-EQEC 2019の会議参加報告である.