CLEO 2023 國分淳之介

Research

CLEOPR 2023 参加報告

7th May - 12th May, Convention Center, San Jose, USA

修士 1 年 國分淳之介

1.CLEO-PR2023について

本 会 議 は APS ( American Physical Society ) ,OSA ( The Optical Society) , IEEE
Photonics Society主催の国際会議である.Conference on Laser and Electro-Opticの名前の示
す通り,レーザーや電気光学に関する研究者が一堂に会する非常に大規模な会議であり,
著名な研究者も散見された.2022年は対面及びオンラインのハイブリッド開催となってい
たが,2023年は対面のみでの開催となった.会場には多くの人々が集まり,対面の学会な
らではの活気のある会場となった. Thorlabsをはじめとする協賛企業によるブース展示に
は,日本を含む多数の国の企業が出展した.

2.報告者の発表について

タイトル: Small Spectrometer With Extremely High -Resolution (0.07 nm)
Realized With an Improved Reconstruction Algorithm
発表者:Junnosuke Kokubu
所属:Keio University
発表番号:STh4G.7(Thu, May 11)

ランダム性を有するフォトニック結晶導波路を用いた分光器の開発に関して発表した.
本研究は,段階的チャープ構造を有するフォトニック結晶導波路により分光を行う際に構
造により定まる分解能の限界を,製造誤差に起因するランダムな局在を用いて克服するも
のである.フォトニック結晶中の局在は波長に非常に敏感であることが知られており,設
計構造による分解能限界が1.5~1.7 nmとされるのに対し,導波路中の局在光を考慮した場
合には0.08 nmまで分解能が向上することが可能であると実験的に示した.

3.聴講した発表

タイトル:Computational Spectroscopy via Large Aperture Meta-Optics
発表者:Johannes Froech
所属:University of Washington
発表番号:STh4G.5(Thu, May 11)

メタサーフェスとCCDカメラを用いた超小型分光器の開発に関する研究である.今回
の研究では,直径5 mmのシリコン基板上にシリコンナイトライドメタサーフェスを作
製したチップを使用した.チップ基板側から透過した光は,シリコンナイトライドメタサーフェスによって波長依存性を持った光線に成形され,レンズを経由してCCDカメラ
に到達する.本研究では,事前にシステムのPSF(Point Spread Function)の波長依存
性を記録しておき,スペクトルが未知な入力に対して,事前データをもとにスペクトル
を再構成した.本研究では, L0, L1, L2(Tikhonov)正則化法を用いてスペクトル再構成
を行っており,離散スペクトル,連続スペクトルともに再構成されることが確認された.
得られた波長分解能は3.5 nmであった.本研究のユニークな特徴として,チップとカメ
ラの距離に応じて,分光器としての動作波長範囲を変化させることが可能である点が挙
げられる.今後の展望として,本研究のシステムをハイパースペクトルカメラとして動
作するよう拡張することが挙げられた.

タイトル:Inverse-designed linear coherent photonic networks for high-resolution
spectral reconstruction
発表者:Yuan Li
所属:The Chinese University of Hong Kong
発表番号:STh4G.1(Thu, May 11)

CMOS互換のプロセスでオンチップ分光器を作成する研究である.SOI上にビームスプ
リッタ,ルーター,ミラーの3種類の光学素子を多数実装したネットワークを用いて,分
光動作を実装した.素子全体のサイズは88 × 300 平方マイクロメートルであり,25チャ
ンネル出力をもとにスペクトル再構成を行う.波長分可能の評価は自己相関関数によって
行われており,その値は0.27 nmであった.本研究の再構成方式は,疑似逆行列法で事前
処理した結果を,さらにシミュレーテッドアニーリング法により洗練する方式であり,両
アルゴリズムそれぞれの利点を活用するハイブリッドな手法である.