PIERS 2023 谷川幸彌

2023-08-21 2024-01-23 MatsuyamaHayato

Research

PIERS 2023 参加報告

3th July - 6th July, Prague Congress Center, Prague ,Czech Republic

修士 2 年谷川幸彌

1. 参加会議

会議： PhotonIcs and Electromagnetics Research Symposium (Progress in
Electromagnetics Research Symposium) 2023
日程： 2023 年 7 月 3 日 – 2023 年 7 月 6 日
場所： Prague congress center，プラハ，チェコ

2. PIERS2023 について

本会議はマサチューセッツ工科大学 (MIT) の故 Jin Au Kong 教授によって設立された米国の非営利団体 The Electromagnetics Academy (TEMA) が主催の国際会議である．今回はチェコのプラハで開催された．会議参加者は中国人が多く，日本人も多く見受けられた．世界的な研究者として有名な EPFL の Tobias J. Kippenberg の Invited talk を聴講しようと多くの人が集まっていたが，彼が姿を現すことはなかった．私が発表したセッション
は田邉先生が Organizer として開いたマイクロコムを用いたテラヘルツ波発生に関するセッションであったため，IMRA America や NICT，徳島大など SCOPE の研究内容に非常に近い分野の有名な研究者たちが集まり，彼らの発表を聴講することができた．プラハは古い町並みが非常に綺麗であり，ビールの種類である「ピルスナー」発祥の国として有名である．したがって，他大の研究者の方々とピルスナーを飲んだりおいしい食べ物を食べたりして有意義な時間を過ごすことができた．

3. 報告者の発表について

タイトル： Generation of 300-GHz Terahertz Waves with Microresonator Frequency Combs
発表者：谷川幸彌
所属：慶應義塾大学
発表番号：1A4 (Mon. 3rd July)
シリコンナイトライドリング共振器を使用して繰り返し周波数 300 GHz のソリトンマイクロコムを発生させ，アレイ導波路回折格子(AWG)と単一走行キャリアフォトダイオード(UTCPD)を用いて 300 GHz のテラヘルツ波を生成することに成功した．質疑応答では別の共振器を使用した際と比較して位相ノイズはどうなるかという質問を受け，確かにそれは確認する価値があるかもしれないと感じた．

4. 聴講した発表

タイトル： Versatile Cavity Solitons for Kerr Frequency Comb Generation
発表者： Xiaoxiao Xue
所属： Tsinghua University, China
発表番号：1A4

これまで研究されてきた散逸性 Kerr ソリトンにおいては群速度分散がソリトン生成に大きく関与してきたが，分散が存在しない場合においても Kerr 非線形性とスペクトル・フィルタリングの相互作用によって新しい種類のソリトンが生成できることを実証したという発表であった．フィルタの次数を上げていくとナイキストパルス状のソリトンが生成でき，ナイキストパルスは平坦かつコンパクトなスペクトルを持つことから，前例のないほど高いスペクトル効率有する．したがって，大容量通信や分光，LiDAR 測距などの幅広い応用が期待できる.

タイトル： Low-phase-noise Frequency-tunable Microwave and Millimeter-wave Generation Using an Electro-optic-modulation Comb
発表者： Atsushi Ishizawa
所属： NTT Corporation, Japan
Nihon University, Japan
発表番号：1A4

ネットワークにおける高精度な時間同期のために，リチウムナイオベートおよびシリコン変調器を用いた電気光学変調コム（EO コム）によって 6～72 GHz の広帯域かつ低ノイズな周波数可変ミリ波発生を実証したという発表であった．モードロックレーザを参照光として用い，EO コムとのビートを信号発生器にフィードバックすることにより，市販の信号発生器よりも位相ノイズを大幅に抑制することができている.

タイトル： Dual-Wavelength, Low-Phase-Nose, Optical Carrier for Terahertz-to-Optical Carrier Conversion with Electro-Optic Polymer Modulator
発表者： Takeshi Yasui
所属： Tokushima University, Japan
発表番号：1P4a

2 波長の光キャリアと電気光学ポリマー変調器を組み合わせたテラヘルツ検出に関する発表だった．EO コムの 2 つのモードにインジェクションロックされた 2 波長レーザ光をキャリアとして使用し，テラヘルツを外部入力電圧とした電気光学ポリマー変調器によって片方のキャリアにテラヘルツのサイドバンドが立つ．キャリアの周波数間隔と変調周波数がわずかに異なるとき，無変調キャリアと変調サイドバンドの RF ビート信号を検出することに
より，テラヘルツ・光変換を達成した.